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MAFT SAI

April 12, 2019

イサーンにG.I. 基地が設置された頃にモダンナイズが始まりました。概ね’60年代後半から’70年代の初頭です。西洋楽器と現地のローカル楽器とが自然の流れで一緒に演奏される様になった。新しいサウンドの誕生です。

但し近年、’50、’60年代頃からトラディショナル化と言うのでしょうか。楽曲がモダンナイズされ始めた時代へ突入します。ルークトゥンやモーラムそして南部音楽も全て同じ流れを辿ります。当時の内容としては戦争を題材としたものがあります。タイ国内の様々な県にアメリカの基地が拠点としてありました。それによってゴーゴー・バーが出現しG.I.の為に数多くのバーが出現しました。その結果、ドラム、電子機器、キーボード、アンプ、ギターなど様々な西洋楽器が輸入されました。そして人々は西洋音楽とタイのローカルサウンドを混ぜて演奏するようになりました。新しいサウンドの誕生です。

例えばモーラムが顕著です。イサーンにG.I. 基地が設置された頃にモダンナイズが始まりました。概ね’60年代後半から’70年代の初頭です。西洋楽器と現地のローカル楽器とが自然の流れで一緒に演奏される様になりました。最初は西洋楽器の演奏方法を知る由もありませんでした。ベースはどうやって弾くのか?ギターはどうやって弾くのか?手探りで演奏を始める訳です。こういった実験の結果、とても独特なモーラム音楽の音が生まれたのです。偶然に誕生したこの現代モーラム音楽は、このような背景がキャラクターを与えたという事になります。

2009年のParadise Bangkok(パラダイス・バンコク)のスタートから使用しているお酒が「ヤードン」です。ヤードンのコンセプトはとても興味深い。このプロセスは音楽と非常に似ていると感じています。ただ少し見る角度を変えたのです。

2009年のParadise Bangkok(パラダイス・バンコク)のスタートから使用しているお酒が「ヤードン」です。このイベントの音楽趣旨は’60〜’80年代が中心のモーラムやルークトゥンの円盤です。そしてこの素晴らしい音楽を仲間内だけでシェアするのではなく、普段はこういった音楽を聴かない人達にも興味を持ってもらえるよう訴求したかったのです。タイは身分階級の違いも露骨です。身分によって聞く音楽ジャンルが違うという差別的な現実があるのです。微力かも知れないがそんなイメージを打破し、純粋にクールな音楽はクールな音楽として皆が堂々と聞ける環境を作りたいと考えたのです。今の話と共通していたのが「ヤードン」と言うアルコール飲料なのです。ヤードンは一般的に飲む事を恐れられてきました。アルコール度数も高く肉体労働階級の人達しか飲まない危険な印象が強かった。そんな時、ふと音楽でプロモートしたいと思っているコンセプトとヤードンとの共通点を見つけたのです。それらの音楽やお酒は文化的な要素が強く本当に良いものなのです。残念な事に時代が変わり現代社会では低クオリティーの印象が強くなってしまった。

モーラム音楽は’90年代後半から2000年代に転機を迎えます。プロダクトは音楽の本質ではなく歌詞内容や市場にフォーカスする様になってしまった。ヤードンも昔は健康促進の為の薬草酒で詳しい専門家の元でのみ製造が許された飲料だった。アルコールがベースですが薬草を使った健康促進ドリンクだったのです。このようなコンセプトの共通事項に着目したのをキッカケに自分達でアルコールの質も良く、味も良いオリジナルのヤードンを作ろうという事になりました。グレードの高い製造方法とクオリティの高い味を目指し、適切なアルコールを探し上手くインフューズ出来るように色々と知識を得て試行錯誤しました。その後、更に本格的にヤードンについての研究と追求を始めたのはStudio Lamをオープンさせてからです。

ヤードンのコンセプトはとても興味深い。元来、健康の為にハーブを軸にしたお酒ですが元祖のクラシカルな味とは異なった自分達のオリジナリティーを考案しました。従来はラオカーオ(タイ米酒)をベースに作られますがベースのお酒を別のものに変更してみたり、ラオカーオだけでは無くジンやテキーラ、ウォッカやバーボンを使いハーブや果物と味をインフューズさせていきました。アルコールの味に変化を持たらせたのです。それを元にオン・ザ・ロックやカクテルなど次々に新しい商品を開発しました。このプロセスは音楽と非常に似ていると感じています。ただ少し見る角度を変えたのです。

音楽のフォーマットは時代と共に変化しますが、私はフォーマットに関してはシリアスに捉えていない。どのようなフォーマットであれ最後は音楽ですから。音楽にとって本当に大切な事は歌詞でありプロダクションでありサウンドのクオリティーです。時代が変わっても変わらない物に対する価値観という考え方があるのです。

元来、音楽はライブミュージックでした。いつしか円盤に録音されるようになり、やがてビジネスの世界へと発展します。商品となりジャケットもカラフルになっていきます。しかし’70年代や’80年代に入るとコストが不足し商品のアートワークやジャッケットもバジェットが圧縮され始めます。徐々に一色だけで印刷したジャケットが登場しアーティストの写真も無く文字だけが記載されたジャケットになっていきました。その後カセットの時代に突入します。円盤時代で使用された絵(デザイン)をカセットにも使い回したりします。ようやくより多くの市民が自分で好きな音楽を聴ける時代になった。その後CDの時代になりよりデジタル化へと舵を切っていった。それぞれの時代にあったそれぞれの考え方がありますから。しかし時代が変わっても変わらない物に対する価値観という考え方があります。価値を見出された円盤やカセットがいま存在しているわけです。

 

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