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MAFT SAI

April 12, 2019

私が好むのは「正直な音楽(Honest Music)」という事です。そこを深く掘って探求していくと今まで知らなかった事に出会います。30年も40年も見過ごされて来た文化があるのです。これに関する本や資料は無くテレビで語られる事もありません。誰も手をつけてこなかった文化なのです。

私がタイの音楽をしっかり聴き始めたのは、海外留学からタイに戻ってきた2007年の頃でした。それ以前にもタイファンクと云うカテゴリーの中で曲は聞いていました。例えば’60年代’70年代から’80年代初期までのストリングスミュージックだ。そしてソウル、ファンクのカヴァーであるディスコサウンドなど西洋音楽に影響された音楽を円盤で見つけては聴いました。しかしタイのルーツミュージックであるルークトゥンや*モーラムまでは掘り下げて聴いてはいなかったのです。私が初めて買ったモーラムの円盤は*Chaweewan Dumnern(チャウィーワン・ダムヌーン)と*Angkanang Kunchai(アンカナン・クンチャイ)でした。この2アーティストの曲は特によく聴いていました。何故なら東アフリカ、エチオピア等、既に自分が収集して聴いていた音に近いものを感じたからです。その後、*Dao Bandon(ダオ・バンドン)を知って何故か彼の音楽にマリの音を連想しました。次にルークトゥンを聴いて連想したのがエチオピアなのです。その頃からふと自分が興味を持って好きで買ったり集めたりしている音楽と似ている事に気付いたのです。そこから一気にハマり、無我夢中でタイのルーツ音楽を探求しました。聴き込めば聴き込むほど類似点が見つかりました。しかし文化的な共通点は見つかりませんでしたが、よくよく聴いていると各々が独自に音の特徴を持っている事が分かってきました。そこで、更にプロダクションに関しても勉強する様になったのです。その頃はイサーン音楽を中心に特に、イサーン地方からラオスの文化まで様々な音楽を聴いていました。野外イベント向きの音楽のような楽しい音が多いです。昔からタイにはサウンドシステム文化があり野外で音を流して音楽の雰囲気に触れる事が沢山出来たのです。その後、「ZudRangMa Records」レーベルを立ち上げタイファンクのコンピレーションを制作し、2009年、「Paradise Bangkok」主催という大きな流れが動き出したのです。

私が好むのは「正直な音楽(honest music)」という事です。そこを深く掘って探求していくと今まで知らなかった事に出会います。30年も40年も見過ごされて来た文化があるのです。これに関する本や資料は無くテレビで語られる事もありません。誰も手をつけてこなかった文化なのです。そこで私は何かプロジェクトを考えて形にしたいと思い始めたのです。それから私は音源リリースや音楽イベントを精力的に進めてきました。誰も見向きもしなかったジャンルの音楽を、ただの飽きられた古臭くてダサい過去の産物では無いと云う想いと共に現場で鳴ら続けたのです。音楽イベントでは他国のワールドミュージックと並べてタイのルーツミュージックを流しました。それによって聴衆はタイの音楽も実は世界各国の音と似ている部分がある事に気づき始めました。その結果、今までタイの音楽に全く興味がなかった人の心が少しずつ開き始めたのです。

*モーラム(英:molam):
「ラムの達人」「語りの達人」という意。ラオスにルーツを持つタイ東北部イサーン地方のラーオ文化圏の芸能。専門家の「歌」または専門の「歌手」の意の両方で使用される。農村の貧しい人々の生活に焦点を当てるなどルークトゥンと共通している。急速な発声、リズミカルなボーカルそしてパーカッションに対するファンク感覚が特徴。通常ケーンを伴う演奏形式。

*Chaweewan Dumnern(チャウィーワン・ダムヌーン):
1945年生。ウボンラーチャターニー県出身の女性歌手。ランシマン楽団の初代歌姫として60年代から70年代に絶大な人気を誇った。1993年に女性モーラム歌手として初のナショナル・アーティストとなった。

*Angkanang Kunchai(アンカナーン・クンチャイ):
1956年生。アムナートチャルーン県出身の女性歌手。大ヒット曲「Isan Lam Phloen」(1971年)がある。

*Dao Bandon(ダオ・バンドン):
1947年生。ヤソートーン県出身の男性歌手。数多くのヒット曲を残した。酒、女、金などを題材に人々の日常の生活を歌い続けた。最も成功した歌手の一人。

 

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