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AKIRA BLAKE-KIKUCHI / Pan Records / Pre War Blues Laboratories

AKIRA BLAKE-KIKUCHI
Pan Records / Pre War Blues Laboratories

February 15, 2019

だけどそのあとが問題で、すぐ次に出た黒人のホーボーみたいなおっさんがエレキギター持って、ストラップを片っぽうに掛けて弾くんだよ、これでスティーヴィー・レイ・ヴォーンみたいなバリバリのやつをやるわけ!やっベーこのあとだったらとてもじゃないけどステージ上がれなかったぞ(笑聲)。と思えば次は190センチくらいの太った黒人が出てきて「これがブルースだ!」って感じでやるわけ!ステージの下でギタケース持って見てたら『Hoochie Coochie Man』を唄うんだ。まあいわゆる定番なんだけど、それがうねりっていうかグワングワンなんだ。マイク持ってステージ降りてきて、自分の顔のこんな真ん前まで来てさ「ブゥラックキャッツブォーーン」ってやるわけ!あれを聴いた時に、これがブルースだって思ったんだ。歩くリズムも歌も別物でまったく違うんだ。歌の後に演奏なんだよ。後ろの人たちが歌を聴いてるんだね。歌を聴いたあとに、そこを感じて奴等は演奏してる。それからは、自分がバンドでやるときも歌の合いの手にインストになった。兎に角、自由なんだ。なんか本当に凄い。もうでかいバケツをザブってやられた後に、パコンってやられた感じ。(笑聲)

*メンフィス・ブルース・フェスティバル:
毎年5月に開催される世界的なブルースの祭典。メンフィスは、ブルース、ロックンロールなど様々な音楽の発祥地であり、エルヴィス・プレスリーを見出したサム・フィリップスのサン・スタジオが有名だが、マディ・ウォーターズ、ロバート・ジョンソン、ウィリアム・ハンディ、B.B.キング、ハウリン・ウルフ、アイザック・ヘイズ、ブッカー・T・ジョーンズ、アル・グリーンなど偉大なアーティストを多く生み出した街として知られる。

*ホーボー(HOBO):
19世紀の終わりから20世紀初頭の世界的な不景気の時代、働きながら方々を渡り歩いた渡り鳥労働者のこと。

*Memphis のビールストリートでギターを持つ菊地氏

*Memphis のビールストリートにあるBB・KINGの店

*Memphis のステージでの菊地氏(中央)

ソニーを介して向こうにいる誰か、ブルースの巨人たち、先人たちを感じられてるから今までにない演奏ができたんだ。本当に凄く感動したんだ!あの人が一人いるだけでこんな違っちゃうんだよ。突然に全く違うグルーヴが出ちゃうんだ。

その後にキング・ビスケット・タイムの本社に行ったんだ。そしたらプレジデントのジム・フォーさん「メンフィス・ブルース・フェスティバルに出たのか!?お前たち凄いな!じゃあ明日12時にオンエアあるからソニー・パインに言っといてやる」って言うの。明日のオンエアに来いって(笑聲)。当日、ギリギリ五分前に着いてトイレに行ってる間に自分のギター持ち去るおっさんがいるんですよ!後ろから蹴っ飛ばしてやろうかと思ったら、それがソニーだった。あれ蹴ってたらブルース史上に残る一大事です(笑聲)。最初はソニー・ボーイ・ウィリアムソンの『Checkin’ Up on My Baby』。次にジェームス・コットンのインスト曲『Cotton Boogie』。次の曲はインディアンの格好をしてる黒人ブルースマンのエディー・クリアウォーター。彼は、自分が16歳の時に初めて自分で買ったブルースのレコードなんです。そのアルバムに入っている『Find You a Job』をやったんですね。ソニーは、まさか日本人がその三曲を演奏するとは思っていないから凄い喜んでくれた。三十分の番組を、ほぼ自分たちの曲で終わった感じだった。

凄く不思議な経験なんだけど、ラジオに出る一ヶ月前に御茶ノ水の文化学院の講堂で200人くらいの生徒さんの前でブルース講義をやったんだ。そこでできてた事がラジオの当日にできなかったの。でもそのできなかったっていうのは、失敗したんじゃなくて今まで自分たちになかったグルーヴ感が出て「どうしてこうなっちゃうんだろう?」って。それはメンフィスで感じたブルースのリズムが起因してるかもしれないけど、何より目の前でソニーが音に合わせて体を動かすのを見ながら演奏したからだと思うんだ。うわー!こういう感じになるのかって!ソニーは白人だけどやっぱり多くのブルースマンたちを1940、50年代から見てきてるし、本当に毎日毎日ラジオでブルースをかけてる。ソニーを介して向こうにいる誰か、ブルースの巨人たち、先人たちを感じられてるから今までにない演奏ができたんだ。本当に凄く感動したんだ!あの人が一人いるだけでこんな違っちゃうんだよ。突然に全く違うグルーヴが出ちゃうんだ。

*ラジオスタジオに置いてあったソニー・ボーイ・ウイリアムスン達が使用していた実際のドラムセット

* King biscuit time での一コマ。ソニー・パイン(後列右)と菊地氏(前列右)

*King biscuit time スタジオ近くのタマレーの店(ロバート・ジョンソンの『They’re The Red Hot』の中で唄われているタマレーです。)

*King biscuit time スタジオ近くのタマレーの店で初めてタマレーを食べる菊地氏

*クラークスデイルにあったブルースミュージアムに展示してあったソニー・ボーイ・ウイリアムスン本人のハーモニカと写真

当然、音楽だけをやれるような環境ではないから片手間でやるわけだよ。それでもブルースギター弾きとしてメンフィスのブルースフェスに出て、キングビスケットにも出た。日本人でここまでやった奴はそんなにいないし、良いんじゃないかな。ひとつ終わりだなって思えたんだよ。

でもそこで自分のブルース人生は一回終わったと思ってる。ここまでブルースが大好きで夢中でやってきた。当然、音楽だけをやれるような環境ではないから片手間でやるわけだよ。それでもブルースギター弾きとしてメンフィスのブルースフェスに出て、キングビスケットにも出た。日本人でここまでやった奴はそんなにいないし、良いんじゃないかな。ひとつ終わりだなって思えたんだよ。でも終わった後にふつふつと、やっぱりブレイクになりたい!同じように演奏したい!!これが最後に残ってる。これ実現させるために一生懸命に練習するんだけど、どうしても同じ様に演奏ができない。どうやっても無理なんだよ、絶対“ハヤマワシ”なんだ。分かってるんだけど、それがどれだけ“ハヤマワシ”かが分からない。

 

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