Loading...
GORO ASAI / GROK LEATHER Item related to GORO ASAI

GORO ASAI
GROK LEATHER

February 17, 2016

情熱を食って、良いものを作る。だから今の道具を使って、俺は今のモノを作るんだ。

例えばミシンが何年代の何々っていう人がいるでしょ? でもそういうのは全部ウソだと思ってる。 今作ってるミシンで縫わなきゃウソだとおもってるんだ。 ミシンを作ってる機械工の奴がいて、そいつが飯を食うには、 いま生きてる俺がミシンを買わないと奴らは食えなくて、ミシンというものが存在しなくなる。 だから今のミシンを使って、俺は今の物を作るんだ。 どっかに俺みたいな奴がいるんだよ。 ほらミシンをつくってる奴、糸を編んでる奴ってのが。 それぞれお互い助け合わないと、絶対それがなくなっていくから。 ミシンというものが。日本製というミシンというものが。

イギリスの工場で働いているという奴がお店に来たんだ。 やっぱ生活厳しい、食えないなんていうんだ。「俺は情熱を食って生きてるんだ」って。 なんだこいつ格好良いこと言うじゃねーかと思ったよ。 情熱食って貧乏してでも良いモノを作るんだってそう言ってた。 だから俺はいつかそいつの作ったモノをどこかでみつけたら買うよ!って、そいつも俺の作った物を買って帰っていった。 本当は、安くしてやったほうが良かったのかもしれないけど、情熱を食うって言うから、バッチリお金はとってやった。 その代わりお前が作ったもをみつけたら、俺はバッチリお金を払って買うからってこと。 だから世界には、そうやってものを作ってる奴がいるんだから、支え合おうと思ったんだ。

答えを知る為にモノを造って、モノと向き合ってるんだ。自分の手を動かしてやってれば、もしかしたら答えが解るかもしれないと思ってね。

新作を作る時、図書館で長い時間を過ごすんだ。 そこで頭の中に浮かぶアイディアを実現する為にたくさんの文献を漁って確認していくんだ。 勿論wikiでその場で調べられるってのは解るんだけど、俺には手にとって本を読んだ時の感触が大事。 手からも何かが入ってくる、モノには心が宿ると信じてるからさ。

アイディアはいつも自分の中にあると思ってるんだ。 それが俺の場合は、美しいものを見た時に明確になってくるんだよね。 だから感動するっていう心を大事に、そういう機会に触れるようにしている。 頭の中で考えた空想を如何に現実として作る為に、毎日作業して腕を磨いている。

「意味のない仕事は、やらないよ」若い頃はそう思ってたんだ。 でも意味のない仕事なんてないんだよ、そんな考えを持ってた自分がつまんない人間だったんだ。 答えを知る為にモノを作って、モノと向き合ってるんだ。 ほら俺は洋服屋だったから、世の中で良しとされるモノや売れてるモノは散々みてきたけど、それは結局そこ止まりなんだよね。 それは俺の中の答えじゃなかった、何故このモノが良しとされているのかを理解する為には自分の手を動かさないと解らないんだよ。

口では言えない何か、魂がモノに宿る。細部に込める想いが積み重なったそこに「品(ひん)」が存在すると思ってる。

俺、あんまり職人って言葉が好きじゃないんだ。職人って言葉は何か逃げなような気がしてね。 自分はデザイナーだと思ってて、デザイナーは全て出来なきゃいけないと思ってるんだ。 洋服だったら、デザインして、自分で縫って、一個サンプル作って、それを工場に出すべきじゃないかなと考えてる。 俺はデザイナーだから、頭に浮かんだものを自分の手で形にするんだ。

縫製は基本的に手縫いでやってるよ。たまにミシンもやるけど。 やっぱり俺のオナニーかもしれないけど、やっぱ手縫いは手に持ったときに違う気がして。 ステッチが手に当ったりだとか、口では言えない何かがあると信じているよ。 自分が使ってるときに良いから、やっぱ手縫いだよね。 奥が深すぎる世界。 コンピューターでは直線は存在するけど、現実世界で直線は存在しないからね。 ステッチとステッチの「間(ま)」や、細部に込める想いが積み重なったそこに「品」が存在すると思ってるんだ。 無骨で頑丈なだけでなく品があるモノ作りを目指してる。

それとモノはやっぱり壊れるから修理することを考えながら作ってるよ。 なんでも永く使おうと思えば永く使えると思うんだけどさ、革の良いところはアジだよ。 ナイロンや化学繊維系のモノって買った時がピークであとはみすぼらしくなっていくだけだからね。 そういう意味では自然の素材は、買った時が始まりで、それからもっとピークを迎えられるから素晴らしいと思うんだよ。

 

Latest Issue