あっち側が求めているものに合わせて作品を作り出したら終わりだと思うんです。そうではなくてこっちは「これを聴いてくれ!やばいから聴いて!」って言う方が絶対いいよね。窪塚洋介インタビュー(4/5)

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INTERVIEWS:
窪塚洋介/卍LINE/Reggae DeeJay/俳優


喩えるならブルーハーツが最初に作ってくれた下地がすごく柔らかい地面だったとして、歳とともにだんだん地面は硬くなっていく。大人になるという事が完全にピシっとコンクリートになるみたいなイメージだとしたら、良い音楽に出会うと、またそこが耕されてふかふかの柔らかい土の状態になること。そういうふうにし続けなければダメなんだぜって。最初に教えてくれた音楽だったと思う。

喩えるならブルーハーツが最初に作ってくれた下地がすごく柔らかい地面だったとして、歳とともにだんだん地面は硬くなっていく。大人になるという事が完全にピシっとコンクリートになるみたいなイメージだとしたら、良い音楽に出会うと、またそこが耕されてふかふかの柔らかい土の状態になること。そういうふうにし続けなければダメなんだぜって。最初に教えてくれた音楽だったと思う。*『情熱の薔薇』『少年の歌』『リンダリンダ』、子供ながらに割と追っかけた。友達の兄ちゃんとかから借りられる物をとりあえず一通りテープに入れて、みんなが作ってた往年のマイフェイバリットミックステープをブルーハーツバージョンでみたいな。(笑聲)ミスチルとかも好きだったんだけど、自分なりにまた違うメッセージを受け取ってた。メロコアとか聴きながらストリートに道が繋がっていく、家の中でストリートに向かっていく道ができるというか。俺は何か人生の指針みたいな答えが欲しかった。目標だったり、生き方だったりとか、もっと強くなりたいとか、もっと格好良くなりたいとか、もっともっとというのがあったんだ。そして、その延長線上で出会ったのがレゲエだったりヒップホップだった。甲本ヒロトさんは、俺の最終的に会いたいけど会いたくない人みたいな感じ。

あっち側が求めているものに合わせて作品を作りし出したら終わりだと思うんです。そうではなくてこっちは「これを聴いてくれ!やばいから聴いて!」って言う方が絶対いいよね。それが本当なんだ。

高校1年生からバンドをやっていたんですよ。ミッシェルガンレファントとかのコピーバンドをやりながらオリジナルの曲作ったりしてた。ただその時から俺は楽器ができないことが重々わかっていたんで、だから歌しかないって思ってた。俺、言葉が好きだったんだ。リリック書いたりっていうことが好きだった。リリックは気分が大事で書ける時は2〜3時間で一曲書く時もあるし、何ヶ月も書いてる曲もある。あと新幹線とか意外によくて車窓からの景色が動いて流れるのが良くてどっかへ進んでるって感覚がすごい集中できるんだ。この間、実家で俺がちょうどリリック書き始めた頃の荷物が出て来て半端じゃない量の紙に書かれたリリックが出て来たんだ。最近はiPhoneになったけど、当時は特に紙に直書きする事が多かった。俺こんなたくさん書いてたんだと思って(驚)、でも踏んでる韻にしても全てが拙いんですよ。ただこの情熱が俺をここまで推し進めたんだなってのがすごい分かったんだ。俺リリック書くのが無茶苦茶早くて、みんなに「え?もう出来たんですか?」ってよく言われたりするんですけど、それは伝えたい想いがいっぱいあるってことと、やっぱりあの時にリリックをメタクソ書いて、リリックに落とし込むっていうのをガムシャラに遊んでたからそれの成果もあったんだと思う。例えば“春”っていうのは春って書けば伝わるけど、“雪を割る、羽ばたき”でも伝えられるじゃないですか。同じ事を言うにも“朝”っていうのか“夜明け”っていうのか、“空が白む”でも違ってくる。表現は本当に無限にある筈だから。自分が今まで読んできた本だったり、「言葉が好き」って言ってきた力っていうのはもっともっと発揮していけるところだなと思うんです。昔の文学とか俳句とかは表現がすごい豊かで、例えば新幹線の中の冊子に書いてあった”風にもがれる雲”とか普通に考えたら”風が強い”言っちゃうと思うんだけど、これ素敵だなと思ったり、伝え方によってその人の個性をメッセージできるってこと。オリジナルの言葉にしていくことは、凄く強いなと思うんでそこは凄く意識してます。そこにスペシャルな自分らしさだったりを入れていくんだったらたくさんの言葉を知らないといけない。言葉はやっぱり武器だったり力だったりすると思うし、それが卍ラインの強みのひとつだし、そこをちゃんと磨き上げていかないと通用しないと思う。あっち側が求めているものに合わせて作品を作り出したら終わりだと思うんです。そうではなくてこっちは「これを聴いてくれ!やばいから聴いて!」って言う方が絶対いいよね。それが本当なんだ。

ヒップホップのBボーイだねとか、ロックのロックだねとか、パンクのパンクだねっていう言葉の根幹と一緒でやっぱ自分のスタイルだったり生き方だったりメッセージだったりってとこだと思うからそこはもうほんとに自信を持って言ってきた事。

何より自分自身の表現に興味が湧いてるから、人の表現ももちろん聞いたり見たりするけど、そこに対して我武者羅にハングリーじゃないんですよ。もっと別のところにハングリーさが向いているから。俺は早口も出来ないし奇抜なDeeJayのタイプではなくて、ちゃんとメッセージだったり自分のスタイルで伝えるっていう方のアーティストだと思う。そこがあるから俺はそれだけレゲエ好きな奴らの前で“俺のレゲエはこう”って言えちゃうっていう、そこに対しては反論されようが何しようが俺は構わないって思えるくらい自分の中で自分のレゲエミュージックがあるから。それって突き詰めていった結果、ヒップホップのBボーイだねとか、ロックのロックだねとか、パンクのパンクだねっていう言葉の根幹と一緒で、やっぱ自分のスタイルだったり生き方だったりメッセージだったりってとこだと思うから、そこはもうほんとに自信を持って言ってきた事。ラガとか、パンクとか、Bボーイとか、ロックだねっていう言葉って真髄はおんなじだと思うんです。格好つけたときかっこいいのは当たり前だけど、レゲエはかっこつけてない時も含めて音楽になっているようなシーンだと思うんで。ショーの間だけとか、こういう風にショーを見せれれば前後は関係ないとかって言うことじゃない。

漫画のコマって止まってるじゃないですか、だけどそこには一番いい瞬間が書いてある筈じゃないですか。例えば人をぶっ飛ばしてるっだたらぶっ飛ばしてる時の一番いい状態とか、ぶっ飛ばす直前なら直前のいいとこ、それって実写で動く時もどっかにその瞬間があるわけ。

漫画は相当読んでるけど一番最初に買って単行本を集め出したのは『キン肉マン』です。当時はジャンプは読んでたんで『ドラゴンボール』しかり、『魁!!男塾』とか色々。友達の家行くとサンデーとかマガジンとか置いてあってそれも読んでた。『バガボンド』にも喰らってるし、池袋ウエストゲートパークのキングの役は『ウダウダやってるヒマはねェ!』って漫画の”アマギン”っていう役から持ってきているし、なんだかんだ漫画にはすごく影響を受けています。俺の芝居が漫画っぽいとか音楽っぽいとか言われることもあるけど、セリフがフロウしてたりとかあんまり意識してないっていうのは、意識できないくらい遺伝子レベルにもう蓄積されてる過去の情報だったり、自分の好きなことだったりするから。もしかしたら芝居してる時に漫画のコマで考えてる可能性もあるし、漫画のコマって止まってるじゃないですか、だけどそこには一番いい瞬間が書いてある筈じゃないですか。例えば人をぶっ飛ばしてるだったらぶっ飛ばしてる時の一番いい状態とか、ぶっ飛ばす直前なら直前のいいとこ、それって実写で動く時もどっかにその瞬間があるわけ。そこを意識すると今度漫画のコマを意識してる事になると思うし、でもそれはすごく冷静に分析してその瞬間にそうしてる訳ではないです、もう全部入っちゃてるから勝手にそうなってるってだけ。ほんと漫画とゲームがなかったらこの国はどうなってたんだろうっていうか、悪い影響も多少はあるかもしれないけど、すごい良い影響を与えてると思うんですよ。学校では教えてくれなかった事、でもすごく大事なこと。それこそブルーハーツの音楽じゃないですけど、この人たちスゲー危なそうだけど、この人達言ってる事めっちゃほんとうの事だなって、ガキなりにみんな直感するじゃないですか。あの感じで漫画って直感する事ってあると思うし、漫画めちゃ出てるから人の数だけ好きな漫画があって、そうするとオススメ聞いたりすると、俺も読んでみようかなって、こいつが言ってんだもんなみたいな。こいつがここまで面白いって言うんだったらっていうアプローチの仕方も今まで楽しかったし、漫画によっちゃね、『ゴルゴ』で世界情勢学んでますみたいな人もいるぐらいじゃないですか、そんなに信じてんの?みたいな。(笑聲)でも『MASTERキートン』とか浦沢さんの漫画とかもそうだし、すごい知識的に勉強になることもあるし、精神的にすごい癒される事もある、『キングダム』とかの熱さとか普通に暮らしててあんまりないじゃないですか、変に漫画とかの方が熱くなっちゃたりとか、泣いちゃったりとかして、でもあれってやっぱり求めてるんだと思うんですよ。心というか魂がそういうものに触れたかったりとか、現実で起こらないから仮想現実で漫画で体験させてくれるというか、あれもなんか読み込みの度合いによってはほんとうに自分のいい経験になると思うんですよ。おんなじ事が起こってもそれを数字で表したらチープだけど1って思う人もいれば16って思う人もいれば、100万にも無限大にも捉えてくる奴がいたりして、それはそれぞれのアンテナの問題で、かと言ってアンテナが良ければ良いのかって訳でもなく、それの情報に対して自分がどれだけ喰らえるかみたいな、もう喰らったら喰らった分栄養になると思うし絶対自分の力になると思うんです。なるだけアンテナはいつもピカピカにしておきたいし、高いところに立てておきたいとは思うけど、それが面白いのはさっき言った新しい商品とか新しい流行りに対して向いてる訳ではないというか、そこはある程度一貫してるんですけどね、自分のフォーメーションだったり、今のライフスタイルをより良いものにするためにアンテナを磨いてる。

TERRY THE AKI-06 と出会うんです。彼との出会いが、関西のアーティストとの繋がりのきっかけとなって今に至るって端折れるくらいスタートポイントがテリー君。窪塚洋介インタビュー(5/5)☞ 続く

真っ先に手伸ばしてくれて「やろうぜ!」って言ってくれた人たちだから、その時は本当に嬉しかったし、しかもV.I.Pだし、何ていうかそれこそスコセッシが迎えに来てくれたみたいな感覚に近いものがあった。窪塚洋介インタビュー(3/5)☞戻る

*情熱の薔薇:
日本のロックバンド、THE BLUE HEARTSの通算9枚目のシングル。バンド史上、最初で最後のオリコンシングルチャート1位を獲得した作品であり、TBS系ドラマ『はいすくーる落書2』主題歌。

*浦沢さん:
浦沢 直樹(うらさわ なおき、1960年1月2日 – )は、日本の漫画家。代表作に『YAWARA!』『パイナップルARMY』『MASTERキートン』『MONSTER』『20世紀少年』など。


強烈な個性と信念でシーンに一石を投じ続ける男。卍LINE a.k.a. 窪塚洋介の哲学を五行(仁義礼智信)で紐解く。世の中の誤解と不条理に対する卍流“愛”の形から見えてくる答えがある。「我のみ知る道、愛を持って」

Name: 卍LINE / a.k.a. 窪塚洋介
DOB: 1979
POB: 横須賀、日本
Occupation: Reggae DeeJay / Actor
http://www.manjiline-amatorecordz.com/
https://twitter.com/amatorecordz
https://www.instagram.com/yosuke_kubozuka/
https://lineblog.me/kubozukayosuke/

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